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京都感染症フェローシップ・プログラム

感染症専門医となるためのトレーニングを、京都大学医学部附属病院 感染制御部洛和会音羽病院 感染症科のそれぞれの病院で1~2年間の、合計3~4年間で行います。特性の異なる京都市内の2病院で行うことにより、幅広い領域の経験を積むことができます。

トレーニングの場となる2病院

1. 京都大学医学部附属病院 感染制御部(日本感染症学会認定研修施設)

大学病院としてのリソースを活用し、院内感染症および臨床微生物学に重点をおいたトレーニングを積むことができる

研修内容は、細菌検査室での臨床微生物学的知識の取得、コンサルテーション業務、院内感染制御活動など。診療科からのコンサルテーションを中心に、病歴・身体所見・検査所見をリスクの評価に基づいて見直し、どのようにアセスメントし、どのように初期治療を行い、その後の経過により、どのように修正していくかを、一例一例詳細に検討する過程で、一般感染症医とコンサルタントとしての技能習得を目標とする。
当院では造血幹細胞移植、固形臓器移植症例が豊富であり、侵襲的ないし免疫抑制的治療を行っている患者が極めて多い。
また、HIV拠点病院でもあり、常時HIV感染患者の外来診療を行っている。そのため、日和見感染症の可能性を常に念頭におきつつ、それに振り回されない診療技能も身につけられるよう、実践的な指導を行っていく。またICTとしての活動にも参画し、感染制御医としてリーダーシップをとれるよう、必要な知識と経験を習得することができる。

〒606-0967 京都市左京区聖護院川原町54
TEL:075(751)4967
FAX:075(751)3233
プログラム責任者:高倉 俊二

2. 洛和会音羽病院 感染症科(日本感染症学会連携研修施設)

一般的市中感染症および、総合内科のトレーニングを積むことができる

感染症科は全身に及ぶ疾患を扱うため、内科全般にわたる知識・経験の基盤が重要となる。病歴、身体所見、検査所見をどのようにアセスメントし、マネージメントをどうするか、疑問をどのように解決するか、コンサルタントとしてどのように期待に応えるか、思考過程およびコミュニケーション能力を重視し、感染症臨床医として独り立ちできるようにマンツーマンで指導する。研修内容は、入院患者担当、コンサルテーション業務、総合内科・感染症科外来(週1~2コマ)、ER内科当直など。
当科では、特に整形外科関連の感染症は症例が豊富であり、そのほか、心臓外科、形成外科、皮膚科関連などの感染症も扱う。また、トラベルクリニック、感染制御分野の経験も可能。総合内科ローテーション、カンファレンス参加により、内科の基本的なものの考え方を習得する。HIV、免疫不全状態の感染症の症例は相対的に少ない。

〒607-8062 京都市山科区音羽珍事町2
TEL:075(593)4111
FAX:075(581)6935
プログラム責任者:神谷 亨

カリキュラム

Ⅰ.一般目標(General Instructional Objective: GIO)

初期および後期臨床研修で身に付けた内科的臨床能力を土台とし、感染症専門医として習得すべき感染症全域に渡る基本的知識、診察法、思考分析法、問題解決能力、コンサルテーション能力、コミュニケーション技術、プロフェッショナリズムを習得する。

Ⅱ.行動目標(Specific Behavioral Objectives: SBOs)

感染症専門医に求められる専門的な臨床能力を身につけるために、以下にあげた行動目標を踏まえて研修を行う。

(1)感染症診断学

  • 感染症を生じる主要な病原微生物の種類、疫学、病原性、発病機序、宿主応答、臨床症候について理解し、説明することができる。
  • 感染症診断のために必要な各種診断法の種類、特徴、結果の臨床的意義について理解し、説明することができる。また、一部の診断法(グラム染色、チールニールセン染色、KOH直接検鏡など)については、自身で実施することができる。

(2)感染症治療学

  • 抗菌薬の種類、特徴、適応、投与量、体内動態、副作用、薬物相互作用、コストなどについて理解し、説明することができる。
  • 抗真菌薬の種類、特徴、適応、投与量、体内動態、副作用、薬物相互作用、コストなどについて理解し、説明することができる。
  • 抗ウイルス薬の種類、特徴、適応、投与量、体内動態、副作用、薬物相互作用、コストなどについて理解し、説明することができる。
  • 感染症の補助療法について、その種類、特徴、適応、有効性、合併症などについて理解し、説明することができる。

(3)感染症予防学

  • 感染症の予防方法について、その種類、適応、有効性、合併症を理解し、説明、実施することができる。
  • ワクチンの種類、意義、疾病疫学、適応、投与方法、有効性、合併症、補償制度について理解し、説明することができる。
  • 感染症専門医として知っておくべき基本的法律を理解し、説明することができる。

(4)感染制御・コンサルテーション業務

  • 院内感染防止のための標準予防策、感染経路別予防策、起炎菌・疾患別予防策を理解し、説明、実施することができる。
  • 院内サーベイランスの種類、実施方法、結果の解釈方法について理解し、説明、実施することができる。
  • 感染制御に関する日々の問題点に対して、現状分析を行い、科学的根拠に照らし合わせて解決方法を見いだし、現場を指導できる。
  • 入院・外来患者の感染症に関する各部門からのコンサルテーションに対して、診察、検査計画立案、検査結果解釈、問題点整理、文献調査を行い、自ら治療計画を立てて治療を行い、患者や相談者の期待に応えるべく、誠実に努力することができる。

(5)臨床研修・基礎研修

研修期間中に、感染症に関する3回以上の学会発表と、1編以上の論文執筆を行う。

(6)専門医資格の取得

研修終了後は、受験資格が整った段階で、感染症専門医研修中の臨床経験をもとに、日本感染症学会専門医認定試験を受験する。

Ⅲ.方略

(1)研修期間

通常、計3~4年間。各病院を1~2年間ずつローテートする。

(2)研修方法

  • 入院患者の担当医として、診断・治療・他科からのコンサルテーション業務を行う。週1~2回の外来診療を行う。
  • 感染制御チーム(ICT)の一員として、院内での感染予防策を立案、実行し、啓蒙活動、サーベイランス業務などを行う。
  • 微生物検査室において、微生物検査の基礎的知識・手技について理解し、臨床的判断に応用する。
  • 院内外の、各種感染症勉強会に参加、発表する。
  • 定期的に開催される感染症抄読会、勉強会、症例検討会、「レジデントのための感染症カンファレンス」(京都大学医学部付属病院 感染制御部、洛和会音羽病院、京都市立病院、京都医療センターとの合同カンファレンスで年4回開催)などに積極的に参加し、発言する。
  • 感染症関連の学会において積極的に発表する。
  • 感染症関連の雑誌に1編以上の論文を発表する。

Ⅳ.評価方法

逐次的に指導医による形成的評価を受ける。ローテート修了時には、指導医による口頭試問を受ける。
感染症専門医認定試験の結果を総括的評価とする。

先輩医師からのメッセージ

当科でフェローシップ・プログラムを受けた医師のメッセージを紹介します。あとに続いてこられる方を募集しています。

特色の違う2病院で経験と視野を広げる

京都大学医学部附属病院 感染制御部 伊藤 航人(平成20年 東邦大学医学部卒 フェロー2期生)
(平成28年記)

私は、初期研修を含む6年間、関東で内科全般の研修を積んだ後、サブスペシャリティーを感染症にしようと考え、京都感染症フェローシッププログラムに応募しました。

最初は洛和会音羽病院で、感染症に対してロジカルにどのようにアプローチしていけば良いのかを基礎から学びました。当初はよくわからなかった微生物学的な内容が徐々に言語化できるようになり、臓器ごとにも感染症が理解できるようになり、治療期間を自ら決定できるようになりました。何となくアプローチしていた感染症に対して、丁寧にひもといて整理していけるようになり、自分の臨床力が上がっていくことを実感しました。クリアカットに診療できる部分が増えていきましたが、今まで出会ったことのない感染症や感染のフォーカスが複数ある症例、フォーカスが不明な症例、原因微生物が特定できない症例にも出会いました。洛和会音羽病院では一般感染症の臨床に特に力を入れており、毎日、回診や夕方のカンファレンスでdiscussionが行われます。教科書では学びきれない実践的な面や、controversialな点も指導していただきました。米国で感染症の専門トレーニングを受けている神谷部長を筆頭に、出自の違う感染症科医が在籍しているので、さまざまな視点でdiscussionが行われ、思考の幅を広げることができました。

2016(平成28)年の春、私は京都大学病院に異動しました。異動したばかりですので、まだ皆さんにその魅力の全てをお伝えできませんが、特徴をいくつかご紹介したいと思います。まず、固形臓器(肺、肝など)の移植患者に関連した感染症を診ることができます。もちろん、一般的な胆がん患者さま(血液領域の造血幹細胞移植なども含みます)や膠原病の患者さまなど、免疫抑制状態の感染症を診る機会が格段に増えました。今から思えば、洛和会音羽病院では市中感染症がメインだったので、感染症の初期トレーニングを行う場所としては、格好の場所であったと思います。また、京都大学病院では細菌検査室や実験室が充実しているため、検査や研究によりコミットできることが大きなメリットだと思います。検査室では、微生物の同定分離までの過程や各種培地について学ぶことができます。PCRやMALDI-TOF(質量分析)なども自ら実施する機会があり、今後の自分の幅を広げていくうえで大いに役立つ経験になっているという実感があります。そしてやはり、京都大学病院はエビデンスを発信する役割があるということが大きな特徴で、アカデミックな活動にも参加することができます。私もすでに複数回、発表の機会・指導をいただき、論文作成も開始しております。

感染症は全ての臓器に生じ得るため、内科・外科はもちろんのこと、マイナー科、小児、妊婦のことも知っている必要があります。洛和会音羽病院と京都大学病院という特色の違う施設で研修し、さまざまな経験と視野を得ていることは、感染症を専攻している自分にとって非常に大きな学びになっております。

このページを読んでいる方のなかには、感染症科を専攻しようと決めている方も、まだ迷っている方もいらっしゃるかと思います。感染症の面白さや奥深さを味わいに、ぜひ一度、見学に来てください。皆さんと学び、働ける日が来ることを願っています。

洛和会音羽病院 感染症科での経験

井村 春樹(平成20年 旭川医科大学卒、フェロー1期生)
(平成27年記)

初期研修医のときに初めて看取った患者さまがMRSAの敗血症で亡くなったときに、専門としての感染症科を意識しました。次に感染症科の勉強をしたいと強く思ったきっかけは、予防接種の普及で現在はほとんど見なくなったインフルエンザ桿菌による細菌性髄膜炎にかかった女の子と出会ったことでした。

日本では、臨床感染症を勉強し、トレーニングできる病院は多くなく、洛和会音羽病院に来るまでの私がそうであったように、手探りの状態で感染症の治療を行っていることが多いのではないでしょうか? 当院では、各専門科からのコンサルテーションが豊富にあり、中でも、整形外科や心臓血管外科、形成外科の症例が数多くあります。
創傷ケアセンターが併設されていることから、糖尿病や慢性閉塞性動脈硬化症を基礎疾患とした軟部組織感染症や骨髄炎などの症例を多く経験できます。また、少数ながら、HIV感染症、輸入感染症も経験することができます。なお、希望者はトラベルクリニックを担当することも可能であり、輸入ワクチンも含めた予防接種やマラリア予防薬、高山病の予防薬などの処方や旅先での旅行指導などを行っています。

当院では、スタッフ、フェローが多く、同年代で切磋琢磨しながら経験を積むことができます。週に1回の抄読会や研修医向けの朝の感染症レクチャーを担当するなどにより、相互に知識を交換しながら研修することができます。
また、学会発表や京都大学感染制御部との合同症例検討会、レジデントのための感染症カンファレンスなどの発表の機会も豊富にあります。特に市中の臨床感染症については、多くの学びがあります。臨床感染症のトレーニングを受けたいという方にぜひお勧めします。

感染症診療に携わって

野口 太郎(平成20年 大分医科大学卒、フェロー1期生)
(平成27年記)

フェローシップに参加してから2年がたちました。感染症の指導を受けたことのなかった私にとっては、非常に新鮮で有意義な時間でした。
2年たった現在でも、興味深い症例は数多くあります。まれな症例に限らず、ありふれた症例にも新たな発見があります。また、周囲の指導医、先輩、あるいは研修医との関わりも大変良い刺激になります。
大学病院では、研究に長けた医師が多く、診療に細菌学や検査学、感染制御などの新たな側面を加えてくれます。業務以外の面でも重要な存在です。

このフェローシップでは、2病院の合同カンファレンスが行われ、それぞれの病院の特色を表した症例が提示されます。洛和会音羽病院の総合診療的なアプローチは、大学病院では目にしにくいものであり、憧れをもちつつ、プレゼンテーションを聞いています。それぞれの病院の長所を生かし、短所を補えることがこのフェローシッププログラムの大きな特徴だと思います。多くの人にとって、進路の決定は希望と不安を大いに伴うものであり、簡単なことではないでしょう。その選択肢のなかに京都感染症フェローシップを入れてくださると幸いです。ぜひ一度見学にお越しください。

応募について

プログラム責任者 神谷 亨(洛和会音羽病院)/高倉 俊二(京都大学医学部附属病院)
対象者 日本内科学会認定医取得済みの方
※日本感染症学会専門医試験の受験資格のなかに「日本感染症学会の会員歴が5年以上」という条件がありますので、できるだけ早く入会することをお勧めします。
応募期間 2016年11月中旬まで
募集人数 2人
面接時期 2016年11月ごろ
研修期間 3~4年間(各病院を1~2年間ずつローテート)
修了時の到達目標
  • 感染症臨床医として、幅広い領域のマネージメント、コンサルテーションに対応できる臨床力を習得し、医療機関の感染症部門での責任者として従事できる
  • 日本感染症学会感染症専門医試験を受験し、感染症専門医となる
選考方法 1次選考:書類
2次選考:面接 (面接日、場所は応募者に直接ご連絡します)
待遇 各病院の規定により定める

事務局

応募される方は、下記のフォームより事務局へご連絡いただいた後、1次選考のための書類を事務局に提出してください。

お問い合わせ

提出書類

  • 履歴書
  • 推薦状
  • 論文【テーマ:「私の目指す感染症科医師像」(800字程度)】

封書の表に「京都感染症フェローシップ書類」と明記し、下記までご送付ください。

〒607-8062 京都市山科区音羽珍事町2
洛和会音羽病院 感染症科
神谷 亨 宛

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