鏡視下腱板修復術後のリハビリテーション
手術した側の手を日常生活で使用してしまうと、疼痛が生じたり、縫合した腱に筋収縮が入ることで、縫合した部分が再び断裂してしまう恐れがあります(再断裂)。そのため、腱が安定するまでは腱に負担をかけないよう過ごす必要があります。
リハビリでは、手術した肩への介入だけでなく、再断裂を予防するための安静指導や装具の着脱方法、着替えや入浴など日常生活の過ごし方、注意点などを一緒に確認し、退院後も安全に過ごしていただけるよう、支援をさせていただいています。
時期 | 固定装具 | リハビリ | 日常生活動作 |
---|---|---|---|
手術翌日~ | 固定装具着用 | 他動可動域練習開始 (力を入れずに行う運動) |
手術側の手の使用禁止 |
手術後 1ヵ月~ (又は1ヵ月半~) |
装具除去 | 自動可動域練習開始 (力を入れて行う運動) |
・デスクワーク程度可 |
手術後 2ヵ月目~ | ・軽い生活動作可 | ||
手術後 3ヵ月目~ | 筋力トレーニング開始 | ・重量物の把持(2kg程度から) ・自転車可 |
|
手術後6ヵ月目~ | スポーツ許可 |
手術後の固定装具
腱板断裂の手術後は、縫合した腱の再断裂を防ぐために安静が必要です。 断裂の程度にもよりますが平均4~6週間(小・中断裂の場合は4週間、大・広範囲断裂の場合は4週間または6週間)装具を装着した状態で日常生活を過ごしていただきます。
入院中のリハビリテーションプログラム
1.小・中断裂
手術後翌日から肘や指などの患部外のストレッチ(左図)や肩関節の可動域獲得に向けたリハビリ(右図)を痛みの状態を痛みの状態に合わせて開始していきます。
2.大・広範囲断裂
小・中断裂のリハビリと同様に手術後翌日から肘や指などの患部外のストレッチを開始します(左図)。1週間経過後から肩関節の可動域獲得に向けた練習を徐々に開始します(右図)。2~3週間経過後から装具の着脱や着替えの練習を開始します。
病棟生活
食事
手術していない側の手で食事をしていただきます。利き手の手術の場合、箸の操作が難しくなります。少しでも食事のストレスを軽減するために、入院中は先割れスプーンや自助具箸(はしぞうくん)の貸出を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
更衣動作
普段、着替えを行う際は一人一人さまざまな方法で実施していることと思います。手術後は、修復した腱の再断裂を防ぐために、手術した側の肩を自分の力で動かすことはできません。そのため、術後当初は看護師の介助の元で着替えを行います。 その後、退院に向けて一人で着替えが行えるよう、リハビリで練習を実施していきます。
入浴動作
手術後、約3日目から介助下でシャワー浴を開始します。手術後の固定がアームスリングの方は三角巾を着用していただきます。 手術後の固定が外転枕の方は入浴用の外転枕を装着していただいています。どちらの装具でも、手術していない側の手で洗髪や洗体をしていただきます。 外転枕を着用されている方は退院後も入浴用の装具が必要となるため、 ペットボトルを利用したシャワー浴用の装具をお持ち帰りいただきます。
整容動作
歯磨きも手術をしていない側の手で歯ブラシを持ち実施していただきます。歯磨き粉のキャップを開ける際も手術をした側の手は使用できないため、片手で開けられるキャップの歯磨き粉の利用を推奨しています。また、電動歯ブラシを使用していただいても構いません。洗顔時も手術していない側の手で洗っていただくか、おしぼりを使用し顔を拭いていただくと安全です。
排泄動作
手術後1日目は、点滴や心電図などがお身体に付いているため看護師と共にお手洗いまで移動します。2日目以降は全身状態が良好で、歩行時のふらつきが無い状態であれば、お一人でお手洗いまで移動していただくようになります。ズボンや下着の操作は手術していない側の手で実施しますが、困難な場合は看護師により介助させていただきます。
【動画】装具と衣服の着脱方法
退院後にご自宅で、装具や衣服の着脱ができるよう動作のポイントを動画でご紹介します。
動画視聴は、退院時にお知らせするパスワードを入力し、ログインしてご利用ください。