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胃がんの治療方針

胃がんの治療も、大腸がんと同様に、胃の壁の層構造のどこまで浸潤しているかと、広がり具合、リンパ節の腫れ具合で、どこまでの範囲を取り除くかが決まります。

胃カメラと造影CTの検査は最低限必要ですが、術後の病理診断と比べた深達度(がんがどの層まで深くもぐっているか)の一致率は、内科医の報告を見る限り、決して十分なものとは言えません。
患者さんの命を預かるのですから、一人前の胃外科医として手術するために、最低でも1000例は、切除した胃とリンパ節の病理結果を照らし合わせて経験を積む必要があります。
6000例ほどの検討から、胃がんの大きさは、リンパ節転移と腹膜播種(ふくまくはしゅ)の頻度に関連していることがわかっています。胃の内側の径は、大腸より大きいので狭さく症状(胃の場合、がんが大きくなり食物が通過しにくくなる)が出にくいですが、早期に見つかれば、治療によりほとんどが治ります。
粘膜に限局している分化型がんでは、内視鏡的に一括切除できれば、内科的に治療します。低分化、あるいは未分化型早期胃がんで不十分な内視鏡的切除を受けると、5%ほどの割合で再発するようですが、再発したときには、手の施しようがないことが多いという報告もあり、慎重に行います。
ガイドラインでは、低分化・未分化型の場合あるいはある程度以上の大きさになると、外科治療の対象になります。これはリンパ節転移の頻度が増え、治すためには、その領域のリンパ節郭清(かくせい)が統計学的に重要となるからです。
外科手術は胃がんの占拠している部位とリンパの流れに応じて、リンパ節を郭清しますが、その方法は執刀医によりかなり違いがあり、それこそ外科医の数だけ存在していると言えるでしょう。

切除部位については胃全摘、幽門(十二指腸)側切除などがあります。幽門側の胃がんでは、体格に応じて6~7cmの皮膚切開でも、標準的なD2リンパ節郭清が可能で、執刀して25年間、縫合不全を認めないので、出血や膿(うみ)がたまる管(ドレーン)を予防的に置いてくる必要もなく、時間も2時間程度で済み、術後1週間で退院が可能です。(※「高橋滋 胃癌」で検索すると情報が得られるかもしれません)
このため、腹腔鏡手術も希望によりさせていただきますが、開腹手術とどちらがいいかは状況によります。一方、噴門(食道)側の早期胃がんは、胃がん全体の5%程度と少ない病状で、従来は進行がんと同様に、胃を全部摘出する手術が主流でした。
しかし、必要なリンパ節と上側だけを切り取る手術(噴門側胃切除)を行うことで、胃を全部摘出する手術よりも、ダンピング症状や体重減少がより軽微で済むことが多いようです。開腹でもほとんど出血なく手術できますが、腹腔鏡を用いることで、時間は倍以上かかるものの、傷をかなり小さく抑えることが可能です。また、私(高橋)が十数年前に静岡がんセンターに在籍していたときに、豚で実験し安全性を確認してから、この手術を開始して以来、全例でコンバート(途中で開腹に移行すること)したことはありませんし、特に今まで大きな合併症は認めていません。 ただし、開腹手術では今の方法でほぼ完璧と言える段階に到達していると思いますが、腹腔鏡手術ではそこまでの精度を得られていません。
病巣を切り取った後は、食事が通るようにつなぎ直す必要があります(再建)。この方法も、執刀医により千差万別です。何年経っても癒着(ゆちゃく)による腸閉塞を起こしにくいような再建と閉腹(へいふく)方法が大事です。私は、これならば自分がされてもいいと納得できる方法と器械を使って手術をしています。外科医は何よりも常に論理的に考え、行動することが大事です。

※術中の患部などの写真を掲載しています。

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