腎臓内科 診療内容
慢性腎臓病(Chronic kidney disease; CKD)
腎生検
蛋白尿、血尿、腎機能低下などがある患者さまに対して、適切な治療法を決定するためには、腎臓の一部の組織を採取して、腎臓の状態を顕微鏡で調べることが必要となります。この「腎臓から組織をとる手技・操作」のことを「腎生検」と呼びます。そして、腎生検の目的としては、1)正確な組織診断を得ること、2)病気の見通しを予測すること、3)適切な治療法を決定することなどがあげられます。
それでは、どのような患者さまに腎生検をするのかというと、1)蛋白尿や血尿が持続し、慢性腎炎が疑われるとき、2)0.5g/日以上の蛋白尿があるとき、3)大量の蛋白尿や浮腫(ふしゅ、むくみ)がみられるとき、4)急速に進行する腎機能障害があるとき、5)原因不明の腎機能低下があり、腎臓の大きさが正常のときなどがあります。なお、当科では腎疾患の診断・治療を正確に行うため、積極的に腎生検を行うようにしております。
(本項目は一部日本腎臓学会が出している「腎生検ガイドブック」を引用しています。)
慢性腎臓病(Chronic kidney disease; CKD)
慢性腎臓病(以下、CKD)とは蛋白尿や血尿などの腎機能障害、または糸球体濾過量(GFR)が60ml/分/1.73m2未満の腎機能低下が3カ月以上持続する状態のことを言います。
CKDは透析の予備軍であるだけでなく、心血管疾患、入院、および死亡の独立した危険因子であることが知られており、現在、日本では約1,926万人のCKD患者がいるといわれています。これは全人口の18.7%に当たる数であり、その数の多さから新たな国民病としても注目されており、最近、厚生労働省もCKD対策に乗り出しています。
腎臓病は一定以上腎機能が悪くなると機能回復が困難な上、次第に病状が悪化し、最終的には透析になってしまいますが、腎機能障害が軽度な早期のうちに発見し、治療すると完治することもできます。このようなことから、CKDの基本理念として、蛋白尿や血尿などの検尿異常や腎障害を早期に発見し、腎臓病の発症や心血管疾患の発症を予防することがあげられております。先ほども述べましたが、健康診断で検尿異常や腎障害(どのような異常でも)を指摘されたら、気兼ねなく当科を受診してください。
次にCKDに対する治療法ですが、これは腎機能によって異なります。下表にCKDステージを示しますが、腎機能が悪化するに伴い、治療方法が変化することがわかります。特に、推定GFRが30ml/分/1.73m2以下で透析療法が行われていない場合、腎機能を悪化させないため、厳格な薬物療法、食事療法、生活指導が行われ、さらに、この時期に透析療法の説明と選択が行われます。
しかし、これらのすべてことを医師が行うことは不可能であるため、看護師、薬剤師、栄養士も患者さまの教育を行っています。最近ではCKD治療の一環として、看護師、薬剤師、栄養士を中心とした医療スタッフが、患者さんへの腎不全教育のため、腎臓病教室を開く機会が増加しています。患者さまも医師以外の医療スタッフから話を聞いたり、他の患者さまと触れ合うことによって、腎臓病と向き合う姿勢が変化し、よい治療効果が得られると考えられています。当科でも準備が整い次第、腎臓病教室を行う予定にしております。
| CKDステージ | 定義(ml/min/1.73m2) | 治療戦略 |
|---|---|---|
| ステージ1 | 腎障害(+) 90≦GFR (腎機能正常) |
腎障害の原因の精査と治療方針の決定 状況に応じた専門的な治療(ステロイド薬、免疫抑制薬等) CKDの進行を促進する因子の除去(血圧・血糖・脂質等の管理) |
| ステージ2 | 腎障害(+) 60≦GFR<90 (腎機能軽度低下) |
|
| ステージ3 | 30≦GFR<60 (腎機能中等度低下) |
腎機能低下の原因の精査と治療方針の決定 状況に応じた専門的な治療(ステロイド薬、免疫抑制薬等) CKDの進行促進する因子の除去(血圧・血糖・脂質等の管理) 腎機能低下の進行を遅延させるための総合的治療 |
| ステージ4 | 15≦GFR<30 (腎機能高度低下) |
専門医による治療 腎不全合併症の検査と治療(心血管疾患の発症予防を含む) 腎不全と腎代替療法の教育(栄養指導・生活指導等) |
| ステージ5 | GFR<15 (末期腎不全) |
専門医による治療(腎不全合併症の治療、心血管疾患の発症予防) 透析導入の準備・透析療法の開始 腎移植の推進 |
包括的腎代替療法
腎不全が進行すると体内の水分・電解質のバランスが保てなくなったり、老廃物を除去できなくなったりするため、腎臓の代わりになる治療が必要となります。これには、水、電解質、その他の老廃物を除去する「透析療法」と腎臓の機能をほぼ代償する「腎移植」の2通りの治療法があります。
透析療法には、血液を透析器を通してきれいにして戻す「血液透析」とお腹にカテーテルという管を入れ、それを通して透析液を出し入れする「腹膜透析」の2種類があります。
腎移植には、家族・配偶者・身内から2つの腎臓のうち1つの提供を受ける「生体腎移植」と、脳死や心臓死になられた方から腎臓の提供を受ける「献腎移植」の2種類があります。
末期腎不全になった際には、年齢、身体状況、社会背景、生活スタイル、性格等を考慮した上で、その人に最もあった治療法を選択する必要があります。そして、これらの治療はすべて互いに相反するものではないので、同等に選択すべきであると考えられています。具体的に説明すると、最初に腹膜透析から開始し、その後に血液透析に移行したり、その逆も可能です。また、腹膜透析と血液透析の併用療法という方法を腹膜透析または血液透析への移行の橋渡しとして使うことも可能です。さらにどの透析形態からも移植をすることができますし、移植後に腎機能が低下した場合、どの透析形態への移行も可能です。すなわち、血液透析・腹膜透析・腎移植はそれぞれが相補的な治療法と考えられており、最近では、これらの3つの治療法をあわせて包括的腎代替療法と呼ばれています。
当科では、患者さまの年齢、身体状況、社会背景、生活スタイル、性格等を考慮した上で腎代替療法の選択を行いますが、当院では腎移植をすることができませんので、もし希望される方がおられれば他施設への紹介も行います。

(本項目は日本腎臓学会、日本透析医学会、日本移植学会が合同で出している「腎不全の治療選択」の文章を引用しています。)