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顔面けいれんの外科的治療

顔面けいれんとは

顔面けいれんとは、片側の顔面筋肉のぴくつきで、緊張などによって増強します。多くの場合、下眼瞼(まぶた)からはじまり、次第に広がって口角もゆがむようになったり、目が開けられなくなったりします。顔面のつっぱり感もあります。
原因は、顔面神経が脳から出てすぐの部分で、血管が神経を圧迫し、神経に異常な刺激が加わるためと考えられています。

診断法

上記に述べた症状で診断可能です。両側性(顔の左右両方)ではなく片側だけに症状があるというところがポイントです。また、目を強く閉じた後に目を開けてもらうと、顔面けいれんが誘発されやすいのも特徴です。顔面神経まひの後に類似の症状が出ることがありますが、これは血管が神経を圧迫して起こるわけではないので、外科的治療の対象ではありません。
画像検査では、MRIで、顔面神経が脳から出る部分を薄い断面で撮像する検査法を用いると、多くの例で神経の周囲に血管が当たっているのが観察されます。

MRI画像
【 細い青矢印 】:圧迫血管
【 太い白矢印 】:血管が顔面神経根の基部を圧迫

主な治療法

薬物治療

薬物治療には、抗けいれん剤や抗不安剤などが用いられます。軽度の場合には有効ですが、継続して薬を使用していると次第に効果が減弱し、薬を増量すると眠気やふらつきがみられるようになります。

ボトックス局所注射

ボトックス局所注射は、ぴくつきのある筋肉にボトックスという薬を局所注射する治療法です。外来で治療可能という利点がありますが、対症療法であり、効果は数カ月程度しか持続しないことや、1回の治療費が高価な点がやや難点です。

手術

手術は、原因となる血管の圧迫を解除できるという、ほかの治療法にはない利点があり、治癒率も80%以上です。手術時期に関しては、この病気は放置しても命に関わるわけではありませんが、顔面という目立つ部位での症状が問題となりますので、積極的に治療を受けたいと思われときが手術適応の時期と考えています。
外科的治療として当科で行っているのは、神経血管減圧術という手術法です。これは、耳の少し後ろの骨に、500円玉1個半くらいの穴を開けて、そこから手術用顕微鏡を用いて顔面神経の脳からの出口部を観察し、原因となっている圧迫血管を見つけて、神経に当たらないように移動させるというものです。手術は全身麻酔で5~6時間程度です。手術後1週間で抜糸、入院期間は2週間程度です。個人差はありますが、退院後は、早期から通常の生活に戻っていただけます。

治療効果

顔面けいれんの、術後のけいれんの消え方には、三つのタイプがあります。
一つは、手術直後からぴくつきが全く消失するタイプです。二つ目は、術後に消失していたのに、数日後に再びぴくつきが出現するタイプです。これは、経過をみていると、次第に強さ・頻度ともに減少していき、数週~数カ月で消失します。三つ目は、手術直後もぴくつきに改善がみられないタイプです。これも経過をみていると、次第に軽減してきて、最終的には消失します。
術後、三つのうちのどのタイプで消失するのかは予測できません。前述のようにゆっくりと消失していく例がありますので、手術後、最低6カ月~1年は経過観察が必要と考えています。
長期間経過観察を行うと、10%程度に症状の再発がみられます。再発は、別の血管が圧迫をする場合と、神経周囲の強い癒着がみられる場合があります。剥離を行うことによって症状を改善させることが可能です。もちろん、ボトックスなどの治療も選択の一つです。

合併症

手術後の合併症としては、顔面神経まひ、聴力低下、髄液漏、髄膜炎、創部感染、脳内血腫などがあります。顔面神経の近くを操作しますので、手術直後に顔面神経まひが起こる可能性があります。多くの場合、まひの程度は軽く、1~2週間で消失します。
また、聴神経の近くを操作しますので、聴力低下が起こることがあります。聴力低下や顔面神経まひなどの合併症が起こる頻度は、数%です。軽度の症状としては、ふらつき感、頭痛、創部痛、耳閉感などがあります。
脳深部の手術であり、意識障害や小脳症状あるいは運動まひといった重篤な症状が現れる可能性も否定できません。

最後に

手術は絶対に安全と言い切れるものではありませんが、合併症が起こる頻度はそれほど高いものではありません。神経血管減圧術は顔面けいれんに対する唯一の“治癒”可能な治療法であり、脳神経外科領域での確立された治療法です。顔面けいれんでお悩みの方は、一度ご相談ください。

洛和会音羽病院

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