神経内科 音楽療法について
音楽療法とは?

音楽のリズムは心を活性化させ、メロディーは心を和ませ、ハーモニーは他者への親密な感情を生み出します。また、楽器を演奏し歌うことで、身体機能の強化にも有効です。
このような音楽の持つ機能を活用し、治療に役立てようとするのが音楽療法です。
医療では、高齢者の病気(老人性認知症・アルツハイマー病・パーキンソン病など)、発達障害(自閉症・ダウン症など)、機能障害(言語障害・肢体不自由など)、精神障害(神経症を含む)など、さまざまな症状の治療や障害の改善と回復を図るリハビリテーションに取り入れられています。さらには、緩和ケア病棟や小児科手術室で、音楽の癒しの効果が活用されています。
医療の場で音楽療法が行われる場合、単に音楽を聴くだけでは治療としての効果はありません。そこで、専門家である音楽療法士が、治療目標を立て、それぞれの患者さまに効果的な音楽を適切に選択しながら継続的に実施していきます。
※当院では、日本音楽療法学会認定・兵庫県認定の音楽療法士が担当しています。
洛和会音羽病院 神経内科での音楽療法
当院では神経内科に入院している神経難病の患者さまを中心に、脳神経外科や腎臓内科の入院患者さまなどに、医師と音楽療法士の判断により音楽療法を実施しています。また、看護職員や介護職員と協力し、療養病棟でも行っています。
≪実施方法≫
(1)集団セッション(自由参加)
大(約30人以上)、中(約10人以上)、小(約4~8人)のグループに大きく分けられます。それぞれの病棟の特徴や目的により、温かい雰囲気の中で行われています。
効果:気分転換や感情の発散を促す。音楽活動による他者との交流で協調性を高め社会性を改善し維持へつなげる。
<毎週1回(約50分)実施>
(2)個人セッション(担当医師の判断による)
音楽療法士と患者さまの1対1で行います。主に集団と関わりにくい患者さまに、より細やかに音楽を提供しています。
効果:リラクゼーションと情緒の安定、自己表現の促進や身体機能の改善など。
<患者さまの体調に合わせ、毎週1回(約45分)実施>
今後の洛和会音羽病院での音楽療法
療養病棟での集団セッションに加え、物忘れ外来の患者さまやパーキンソン病で通院されている患者さまなどにも、必要に応じて個人セッションを実施する予定です。
また、ご希望によってはご家族の方と共に集団セッションを行い、同じ病気の患者さま同士で情報を交換できるような音楽交流会の場を設け、患者さまとご家族の方が孤立化しないようにお手伝いをしていきたいと思います。
(洛和会音羽病院 神経内科 音楽療法士 高橋季子)
患者さまのご家族の声
「心楽しいリハビリテーション」
<パーキンソン病のNさまのご家族>
20年間、病に苦しみながらも、どんなときも気丈に振る舞い、私の前でも涙を見せたことがなかった妻が、はじめて個人セッションを受けた日に涙を流しました。歌を口ずさみ入院以来はじめて微笑むのを見て、私は感激し言葉をなくしました。
無表情だった妻が回を重ねるにつれて大声で笑うようになり、同時に介助が必要だった食事も人の手を借りずに1人で全部食べることができるようになりました。
私たち家族は、何カ月間も意欲も気力もなく過ごす妻のようすを見ているうちに不安がつのり、いらいらすることが多くなっていました。しかし、音楽療法を受けてどんどん変化していく妻を見ていると、いつの間にか私の顔にも笑みが浮かぶようになりました。
音楽療法は「心楽しいリハビリテーション」です。どのような病気の方にも、怪我をして入院している方にもとても有意義だろうと確信しています。妻が洛和会音羽病院で音楽療法と出合い、笑顔を取り戻すことができて、本当によかったと思っています。
「よみがえった微笑み」
<脳梗塞で入院されたOさまのご家族>
看護師長からはじめに音楽療法を紹介されたときには、介護施設などで行うレクリエーションやボランティアのようなものを想像していました。しかし、想像とは違い、音楽療法士の先生は夫のベッドサイドにキーボードやいくつかの楽器を持ってやってきて、夫の表情や身体の動きをみながら、ゆったりした曲や乗りの良い曲を、キーボードの音色や音の高さを変えたり楽器を変えたりしながら、演奏し歌いました。
そうしていくうちに、入院から8カ月間も身体がほとんど動かなかった夫の足先が小刻みに動きだし、無表情だった顔も穏やかになり、微笑がでてきました。今では、演奏に合わせて指揮者のように腕を動かしたり、ゆっくりですが鍵盤を弾くこともあります。 夫は声が出せませんが、音楽療法の時以外にも、口を動かしてスタッフの方とあいさつができるようになり、自分の気持ちを伝えるようになりました。予想以上の効果に、担当医の先生も驚かれていました。
当時、夫は頻繁に熱がでたりと、なかなか具合がよくならず、私たち家族も辛く悲しい日々を送っていました。そのような中で、音楽療法によって夫が劇的に変化し、とても嬉しく思い、家族皆が喜んでいます。