コラム
音痴は治るのか?
私の卒業した京都の洛星という学校では、中学も高校も年に一度クラス対抗の合唱コンクールがあった。
その時同級生で、隣で歌っていた者が、どうもおかしな音を出すので、ドレミファソラシドと歌わせてみたら、全く音がズレていた。
本人はちゃんと音程をとっているつもりだった。
その時はじめて「音痴」という人がいることを知った。
この友人は、後年奈良の有名進学校の校長になった。
ところが音痴を調べてみたら、面白いことがわかってきた。
音痴とは、耳でその音のピッチ(音の高さ)を、感じることができても、声帯をそれに合わせて使うことができない者をいうらしい。
矯正する方法はないのか、調べた。
最近は、コンピュータを使用する方法がある。
コンピュータの画面上で、音のズレを確認しながら、自分で、目的の音に近づけているので、補正が楽らしい。(専用ソフトあり)
また、話し言葉で、音痴を治す方法もある。たとえば、家族や友人に、「おはようございます」という毎日の挨拶をいろんな抑揚をつけて発言してもらい、それに合わせて挨拶を返して、だんだん音のズレを縮めていく方法なんかが、有効らしい。
とにかく音痴は、先天的なものではなく、治るものである。
私たちも、眼の前にあるものを、すべて、決定的と断ずることなく、もう一度、疑い、新しい眼で見ることにより、新発見をすることがあるのではないだろうか?
洛和会ヘルスケアシステム 理事長 矢野 一郎(有洛)