うれし泣き、悔し泣きで、涙の味が違う?

私たちが日常よく出す涙や鼻水は、実は「水」ではなく「血液」だ。涙は、上まぶたの外側にある「涙腺」で作られるが、まぶたの周りの毛細血管から溢れ出た「血液」の中で、赤血球などの血球が涙腺を通れず、液体成分である血しょうがにじみ出たものである。

ちなみに、鼻の粘膜から分泌される鼻水も、同じ成分である。

涙には、いろいろ役目があるが、玉ねぎを切ったときに出る反射性分泌や、悲しいときや、うれしいときに出る情動性分泌などがあり、感情によって、涙の味が変わるのを、ご存知であろうか?

例えば、悔しさなどで興奮して、交感神経が優位に働いているとき、涙はナトリウムを多く含むために「しょっぱい」涙になり、うれしいときや、悲しいときは、副交感神経が優位に働いているために「甘い感じ」がする。

また、悲しいときや感動したときに流れる涙は、ストレスホルモンを一緒に体外へ排出してくれる。このおかげで、泣いてスッキリするのだ。同様に、幸せホルモンといわれるものも出すので、2日間くらいはその効果があるらしい。

涙は、(何もなくても)1年で缶ビール1本分くらい出ている。このように日頃意識していない涙も、よく考えるとスゴイと思う。われわれ病院も、日頃はなんとなく糖尿病で薬をもらいにくるだけと思われているが、このコロナのときこそ「涙」であることを、みんなに、知ってもらうための努力をしなければ、と思っています。

洛和会ヘルスケアシステム 会長 矢野 有洛