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洛和会音羽病院 がん情報ページ

「がんのより良い予防と治療」にむけて

わが国の死亡原因の第1位「がん」。
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がんの治療について「手術治療」

がん治療の原則は、体内からがん細胞を可能な限り少なくすることにあります。抗がん剤治療と放射線治療は、体内にあるままの状態でがん細胞を死滅させることを目指しているのに対して、手術治療は腫瘍を周囲の正常組織とともに完全に切除(除去)して治す方法です。長い歴史の中で医師が経験を積み、早期がんにおいては、最も安定して治療の成績が良い開腹・開胸手術であり、体に負担の少ない鏡視下手術でもあります。

手術治療の特徴

メリット
  • 完全に切除すればほぼ100%のがん細胞をなくすことができる
  • ステージが適している場合は安定して治療成績が良い
  • 一度の手術による効果が永続的
  • 放射線や抗がん剤治療に比べて副作用が少ない
  • 治療の効果が患者さんによって異なることが少ない
デメリット
  • 出血や感染症、血栓症などのリスクがある(高齢、持病、体力低下などがあると危険性が高くなる)
  • 切除後の臓器機能低下(胃切除後の食事量低下や人工肛門など)を来すことがある
  • 遠隔転移などに対応できない

これまでは、麻酔をかけて手術を行う外科的治療が中心でしたが、近年は早期胃癌、早期大腸癌、膀胱癌などに対して、内視鏡を用いてカメラで見ながら病変だけを切除する方法も発達してきています。
体への負担も小さく、臓器が残るので生活への影響も最小限になります。ただし、切除後の精密検査の結果によって、追加の手術が必要になることがあります。

消化器がん手術の種類

開腹・開胸手術
皮膚を切開してがんを周囲の組織やリンパ節とともに切除する方法。技術として完成の域に近づいている、実績とともに確立された治療法です。
ロボット支援手術
高精度の手術用ロボットを用いて内視鏡手術を行う方法です。
鏡視下手術
先端に小型のカメラが付いた内視鏡を用いて、患部の映像を見ながら病変を切除する方法です。体に大きな傷が残らず、臓器が温存できるので生活への影響を最小限に止めることができます。

手術治療の位置づけ

外科的切除手術は、白血病やリンパ腫などの血液がんを除く固形がんの根治的治療において、中心的な役割を果たしています。早期癌に対しては、手術だけで十分に治すことができますし、進行癌であっても積極的な切除により、ほかの治療と比べて最も良好な成績を得ることができます。従って、重篤な基礎疾患がない、遠隔転移がないなどの手術適応を満たしていれば、手術治療が第一選択肢になります。

しかし一方で、進んだがんに対しては、手術だけの治療では限界となっていることが明らかになっています。この限界を打ち破るためには、近年飛躍的に進歩を遂げている「がん化学療法(抗がん剤治療)」「放射線治療」と手術を組み合わせる方法があります。現在多くのがん治療ガイドラインにおいて、手術治療と抗がん剤治療あるいは放射線治療の組み合わせが、最も有効な治療法として位置づけられています。

手術療法のこれから

手術風景

実際に医師の目で患部を見て、手で触れることができる開腹・開胸手術は、約140年の歴史 を持つ信頼できる術式です。
一方、器材や方法、周術期の管理など全てにおいて著しい進化の過程にあるのが鏡視下手術です。狭いところに届くカメラの利点を生かし、骨盤内や胸骨に囲まれた胸腔などの手術に優れています。傷が小さいので術後の回復が早く、痛みが少なく、整容性にすぐれています。
食道の手術においては呼吸器(肺や器官)の合併症が大幅に低減しました。今後、開腹・開胸手術に並ぶ術式になっていくことが見込めます。

当院での外科的治療

当院では9つの手術室を備え、年間約5,500件(内、全身麻酔約2630件)の手術が行われており、そのうち悪性腫瘍に関する切除手術は約340件です(2016年実績)。より高度な治療を行えるように、各種手術用エネルギーデバイス、3Dを含む多くの腹腔鏡下手術システム、術中透視システムなどを備えています。これらの機器の管理に対応するため、多くの臨床工学技士が在籍しており、デバイス類が最適な機能を果たすようメンテナンスしています。
近年は高齢化に伴い心疾患、糖尿病、腎臓病などの合併症がある患者さんが増加してきましたが、手術を行う外科系の診療科と心臓内科・不整脈科(循環器)腎臓内科・透析センターなどが協力しながら周術期管理を行い、また、術後管理を集中治療室で行うことにより、さらに安全性を高めています。
そのほか、救急病院としてがんに対する緊急手術にも24時間対応可能です。
このように、高度で最新のがん手術治療を常に提供できるように努めています。

がんの集学的治療

 

手術単独での治療では不十分な進行がんになると、術前・術後の化学療法(抗がん剤)もしくは放射線治療を併用します。術後の補助化学療法については、患者さんの状態や体調に合わせて投与し、手術で取りきれなかったがんの再発を抑制します。
洛和会音羽病院では、内科と外科の医師、薬剤師、看護師などがチームとなり、患者さんの意向もお聞きしながら適切な治療方法を提案し、ともにがんと向き合ってまいります。

対応診療科