症例紹介
はびっとダンス
パーキンソン病は神経変性疾患の一つで、わが国での患者数は約15~20万人とされています。パーキンソン病に特徴的な運動症状(ふるえ、筋肉のこわばりや歩行障害、発話・発語の不自由さ など)に対して、日頃から簡単に取り組める楽しいダンスがあればと、看護師・作業療法士・音楽療法士が中心となって、オリジナルのダンス(歌付き)を製作しました。
動き(舞踏)は、リハビリテーションに基づき、日常生活動作を助ける動きを組み合わせています。適度な負荷もあり、1曲踊ると達成感を得られる内容にしました。歌詞、メロディを含む音楽全体を音楽療法士が担当し、親しみやすく歌いやすいメロディ、動きを支えるほど良いテンポと動きを促す軽やかなリズム、テーマは「四季」で4部構成になっており、メロディが繰り返されることで覚えやすくなっています。また歌詞をつけることにより、歌詞から動きが連想しやすく、次の動きをスムーズに促します。
このオリジナルダンスは、一定の効果があると研究結果も出ています。製作を進めておりましたDVDもようやく完成し、近々全国の皆さんにもお届けできるよう準備を進めております。
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認知症治療病棟
ある日の集団音楽療法にて、参加者に楽器を配り、アコーディオンの演奏とともに、アルゼンチン・タンゴの曲として有名な「ラ・クンパルシータ」を合奏する準備をしていました。タンゴは、日本では戦後に流行した時期があり、高齢者の間では好まれるジャンルの1つです。
普段は歩行が不安定であるA氏でしたが、曲名を聴くと即座に「踊りたい!」と立ち上がりました。作業療法士はA氏に両手を添えながら踊り始めました。しかし、そこにいたのは、社交ダンスの経験がない作業療法士を自らリードし、滑らかに足を動かしながらイキイキと参加者の前で踊りを披露されたA氏でした。他の参加者による楽器のリズムも助け、その踊りは素晴らしいものでした。
若かりし頃社交ダンスの先生をされていた彼の、“その人らしさ”が音楽によって再び導かれた瞬間でした。