ママの体重のお話
妊娠中は体重のことが気になりますよね?
大切なことは、体重が増えることの意味を知ることです。そして、むやみに体重を増やしすぎないこと、減らしすぎないこと、バランスよく食事をとることを心掛けましょう。
体重の変化について
妊娠初期
15週までを、妊娠初期といいます。
この時期には、まだ赤ちゃんは小さく、胎盤が完成していないためにお母さんがとる栄養の影響をほとんど受けません。そのため、栄養が片寄っても、それほど心配はありません。ちなみにつわりは、多くの場合、妊娠20週くらいまでにはおさまります。つわりの時期には、食べられるものを食べましょう。
水やお茶などの水分も吐いてしまうほど、つわり症状が強いときは受診してください。
妊娠中期
16週から27週までを妊娠中期といいます。
この時期から、胎盤を通して赤ちゃんへ栄養が送られるため、お母さんがバランスの良い食事をとる必要があります。妊娠後期に入ると、赤ちゃんにお肉がついていくので、体重が増えます。食べすぎに注意しながらバランス良く栄養をとり、体重をたくさん増やしすぎないようにしましょう。
妊娠後期
妊娠後期に入ると、赤ちゃんの体重が増えていきます。そのため「食べる量が変わらないのに体重が増える」という声をよく聞きます。妊娠28週以降は1週間以内の増加は500gに抑えましょう。安産に向けて、37週以降は体重をなるべく増やさないようにしましょう。
体重の内訳知っていますか?
妊娠27週ごろ
赤ちゃん約1000g + 羊水約700ml + 胎盤約350g = 1.5Kg~2Kg増加
妊娠40週(予定日)
赤ちゃん約3Kg + 羊水・胎盤約1Kg + 子宮約1Kg + 血液・水分約2Kg = 約7Kg増加
妊娠すると、このように必要な体重増加があります。
しかし、必要以上のお肉がついてしまうと…
- 妊娠高血圧症候群になりやすい
- 赤ちゃんの通り道にお肉がついてしまい、お産に時間がかかる
- 赤ちゃんがおなかの中で大きくなりすぎて、お産に時間がかかる
妊娠高血圧症候群が重症の場合には、赤ちゃんやお母さんの命に関わる重篤な状態になることもあります。体重管理はとても大切です。
食事について
貧血にならないために
妊娠すると貧血になりやすくなります
妊娠すると、体の中ではたくさんの血液が流れるようになり、血液の量が増えるしくみになっています。しかし、血液の中にある赤血球などの成分はあまり増えないため、お母さんの血液は薄まった状態になり、貧血になりがちです。これに加えて、赤ちゃんが大きくなるために必要な鉄分を吸収するため、お母さんの血液中の鉄分が減りやすくなり、貧血になります。
特に、赤ちゃんが大きく成長する妊娠24~32週が貧血になりやすい時期です。
貧血になると
- 立ちくらみや頭痛、めまいや息切れがしてしんどい
- 赤ちゃんが大きくなれない
- 陣痛が弱くなってお産が長引いたり、お産の後、出血がだらだらと続くことがある
- お産後の体の回復が遅くなったり、母乳が出にくくなることがある
鉄分の吸収を良くするために
肉や卵に含まれる鉄分は比較的吸収が良いですが、このような食品ばかりで鉄分を取ると、エネルギー・タンパク質・脂質の取りすぎになってしまいます。大豆製品や野菜にも鉄分は含まれており、組み合わせの工夫で吸収を良くすることができるものが多くあります。
いろいろな食品を組み合わせて、食べるようにしましょう。
- 大豆製品や野菜は、動物性タンパク質と一緒にとるようにしましょう
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- 動物性タンパク質の多く含まれる食材を野菜料理に加える
- 小松菜のお浸しに桜エビやかまぼこを加える
- 果物や野菜に豊富なビタミンCと一緒にとるようにしましょう
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- 食事のときに、フルーツを食べる
- 味噌汁の具に、ネギや青菜を加える
- 酸味の強い食品(レモンなどの柑橘類・酢)と一緒にとるようにしましょう
- 鉄製の鍋やフライパンを使って、料理をしましょう
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- 炒め物や煮込み料理に最適
※鉄製の鍋やフライパンを使うと、少量ではありますが、溶け出した鉄分が料理に含まれ、鉄分を摂取することができます。
- 炒め物や煮込み料理に最適
- 鉄分の吸収を阻害するタンニンを含む飲み物は、食事のとき(食前・食後)に飲むのを避けましょう
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- コーヒー、紅茶、緑茶
- 鉄分の多い食材をとるようにしましょう
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- ひじきや切り干し大根などの食材で常備菜を作り置きして、こまめに食べるのがおすすめです
- 黒砂糖にも鉄分が含まれているので、調理に使う砂糖を変えても良いでしょう
便秘を予防する方法
妊娠すると便秘になりやすくなります
予防には、食事と運動がおすすめです。食物繊維と水分をしっかりとって、体を動かしましょう。
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食物繊維には2つのタイプがあります
予防には、食事と運動がおすすめです。食物繊維と水分をしっかりとって、体を動かしましょう。
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水溶性食物繊維を含む食品
サツマイモ・ジャガイモ・里芋、インゲン・小豆・きなこ・おから・そら豆などの豆類、カボチャ・キャベツ・ゴボウ・切り干し大根・ニンニク、プルーン・アボガド・イチジクなどのフルーツ、わかめ・昆布などの海藻類
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不水溶性食物繊維を含む食品
トウモロコシ・サツマイモ・こんにゃく、インゲン・小豆・大豆・きなこなどの豆類、栗・ごま・ブロッコリー・ニンジン・ゴボウ・ホウレン草・切り干し大根・ニラなどの野菜、エノキ・シイタケ・シメジ・エリンギなどのキノコ類、プルーン・リンゴ・アボガド・イチジクなどのフルーツ
妊娠中のたばこについて
妊娠中の喫煙は、百害あって一利なしです。たばこの煙にはニコチンや一酸化炭素など200種類以上の有害物質が含まれます。
たばこが赤ちゃんに与える影響
- ニコチンは子宮の血のめぐりを邪魔し、赤ちゃんの成長を妨げます。
- 一酸化炭素が赤ちゃんの体の全ての組織の発達に影響を与えることがあります。
- 流産や早産になることがあります。
- ほかの人が吸っているたばこも赤ちゃんには悪影響です。
- 赤ちゃんが生まれてからも、乳幼児突然死症候群や脳内出血、斜視、呼吸器疾患を発症することがあります。
- 学童期になっても身長の伸びが悪かったり、知能の発達が劣ったりすることがあります。
歯の受診について
- つわりの時期が終わったら、ぜひ歯の健診を受けましょう。
- 妊娠中はホルモンの影響で虫歯や歯周病などになりやすく、また悪くもなりやすい時期です。
- 虫歯や歯周病は、切迫早産の原因にもなりますので、早めに治療を受けましょう。
- 歯と歯茎を健康に保つことは、健やかな生活を送ることととても親密な関係にあります。
あなたのおなかは張っていませんか?
妊娠中の母体には、赤ちゃんの発育に伴っていろいろな変化が起こります。特に妊娠11週ごろまでと28週以降は、体調が変化しやすい時期です。お仕事をされている方や上のお子さんのお世話で忙しい方は、いつの間にか頑張りすぎていることがあります。
おなかが張っていないか、確認してみましょう。
まずおなかを触ってみましょう
- 感触がほっぺたの柔らかい所と同じくらいなら大丈夫です。おなかは張っていません。
- 頬(ほお)骨の上くらいの感触なら少し張っています。
- おでこくらいの硬さなら、しっかりと張っていることになります。
おなかが張っているときには、座ったり横になって、体を休めましょう。おなかの張りが続くと「切迫早産」になることがあります。無理は禁物です。
頻繁におなかの張りが続くときは、医師やスタッフまで速やかにお知らせください。