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透析とは?

人工透析

透析とは、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症などの病気で腎臓がうまく機能しない人の腎臓の働きを代行する治療(腎代替療法)の一つです。

腎代替療法には、本来腎臓が行う役割をダイアライザー(人工腎臓)や自分の腹膜を利用して行う治療法や、腎移植があります。
腎移植は日本の場合、ルールが厳しいこともあり、あまり広まっていません。90%以上の方が人工透析を選ばれています。
国内の人工透析患者数は約33万人。高齢になってから透析開始となる人が多く、平均開始年齢は68歳です。

人工透析を開始する時期

腎臓病は、気付きにくい病気です。特に慢性腎不全は自覚症状がないまま、ゆっくりと病気が進み、気付いたときには既にひどくなってい る場合も珍しくありません。腎臓病が進行して腎臓の動きが弱くなると腎不全といわれる状態になります。

慢性腎臓病(CKD)の進行

病期ステージごとにおける慢性腎臓病(CKD)の進行

(引用:一般社団法人 全国腎臓病協議会ホームページ)

腎臓病の程度がステージ2~4の場合を保存期と呼びます。保存期の治療は、できるだけ透析開始を遅らせるようにする治療で、食事療法と薬物療法を行います。

末期腎不全になると、次のような症状が現れます。

  • 尿毒症
    老廃物が蓄積して倦怠(けんたい)感、食欲低下、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、頭痛などが出現します。特有の臭いがします。
  • 溢水
    体液のバランスがとれなくなり、心不全や肺水腫を起こします(呼吸苦)。

どちらかの症状が出ると、あわてて病院へ、となりますが、末期腎不全は透析が不可避です。腎機能が戻ることはありません。

そのため、腎臓病の治療は早期発見・早期治療が非常に大切です。
当院の腎臓内科では、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、膠原病などの二次性腎疾患の治療や、糖尿病性腎症などの腎疾患症例の診療を行っています。

透析療法の導入適応項目

次のような症状をもとに腎臓の機能を点数化し、人工透析を検討します。

症状・所見
  • 水の貯留(むくみ・胸に水が溜まる)
  • 酸塩基電解質異常(高カリウム血症、酸の貯留)
  • 消化管の症状(吐き気・嘔吐・食欲不振)
  • 心臓の症状(呼吸困難・息切れ・心不全・著明な高血圧)
  • 神経の症状(意識混濁・けいれん・しびれ)
  • 血液の異常(貧血・出血が止まりにくい)
  • 目の症状(目がかすむ)
腎機能
  • 血清Cr濃度で診断
日常生活の障害の程度
  • 起床できない:高度
  • 著しい制限:中等度
  • 運動・労働ができない:軽度

年齢や糖尿病、膠原病、動脈硬化疾患など全身性血管合併症の存在する場合は加算があります。

「血液透析」と「腹膜透析」の比較

慢性腎臓病に対する透析療法として「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。

  血液透析(HD) 腹膜透析(PD)
治療方法 血液を体外に取り出し、器械で血液を浄化 腹腔内に溜めた透析液を出し入れすることで血液を浄化
APD
(エーピーディー)
CAPD
(シーエーピーディー)
治療場所 透析医療機関 自宅など 自宅や職場など
通院回数 週3回 2~4週に1回
治療時間 3~5時間 主に夜間(睡眠時)
4~12時間ごとのパック交換
注意すべき症状 血圧低下 感染症