京都感染症フェローシップ・プログラム ~先輩医師からのメッセージ~

当科でフェローシップ・プログラムを受けた医師のメッセージを紹介します。あとに続いてこられる方を募集しています。

 

特色の違う2病院で経験と視野を広げる

京都大学医学部附属病院 感染制御部
伊藤 航人(平成20年 東邦大学医学部卒 フェロー2期生)
(平成28年記)

私は、初期研修を含む6年間、関東で内科全般の研修を積んだ後、サブスペシャリティーを感染症にしようと考え、京都感染症フェローシッププログラムに応募しました。

最初は洛和会音羽病院で、感染症に対してロジカルにどのようにアプローチしていけば良いのかを基礎から学びました。当初はよくわからなかった微生物学的な内容が徐々に言語化できるようになり、臓器ごとにも感染症が理解できるようになり、治療期間を自ら決定できるようになりました。何となくアプローチしていた感染症に対して、丁寧に紐解いて整理していけるようになり、自分の臨床力が上がっていくことを実感しました。クリアカットに診療できる部分が増えていきましたが、今まで出会ったことのない感染症や感染のフォーカスが複数ある症例、フォーカスが不明な症例、原因微生物が特定できない症例にも出会いました。洛和会音羽病院では一般感染症の臨床に特に力を入れており、毎日、回診や夕方のカンファレンスでdiscussionが行われます。教科書では学びきれない実践的な面や、controversialな点も指導していただきました。米国で感染症の専門トレーニングを受けている神谷部長を筆頭に、出自の違う感染症科医が在籍しているので、さまざまな視点でdiscussionが行われ、思考の幅を広げることができました。

2016(平成28)年の春、私は京都大学病院に異動しました。異動したばかりですので、まだ皆さんにその魅力の全てをお伝えできませんが、特徴をいくつかご紹介したいと思います。まず、固形臓器(肺、肝など)の移植患者に関連した感染症を診ることができます。もちろん、一般的な胆がん患者さま(血液領域の造血幹細胞移植なども含みます)や膠原病の患者さまなど、免疫抑制状態の感染症を診る機会が格段に増えました。今から思えば、洛和会音羽病院では市中感染症がメインだったので、感染症の初期トレーニングを行う場所としては、格好の場所であったと思います。また、京都大学病院では細菌検査室や実験室が充実しているため、検査や研究によりコミットできることが大きなメリットだと思います。検査室では、微生物の同定分離までの過程や各種培地について学ぶことができます。PCRやMALDI-TOF(質量分析)なども自ら実施する機会があり、今後の自分の幅を広げていくうえで大いに役立つ経験になっているという実感があります。そしてやはり、京都大学病院はエビデンスを発信する役割があるということが大きな特徴で、アカデミックな活動にも参加することができます。私もすでに複数回、発表の機会・指導をいただき、論文作成も開始しております。

感染症は全ての臓器に生じ得るため、内科・外科はもちろんのこと、マイナー科、小児、妊婦のことも知っている必要があります。洛和会音羽病院と京都大学病院という特色の違う施設で研修し、さまざまな経験と視野を得ていることは、感染症を専攻している自分にとって非常に大きな学びになっております。

このページを読んでいる方のなかには、感染症科を専攻しようと決めている方も、まだ迷っている方もいらっしゃるかと思います。感染症の面白さや奥深さを味わいに、ぜひ一度、見学に来てください。皆さんと学び、働ける日が来ることを願っています。

 

洛和会音羽病院感染症科での経験

井村 春樹(平成20年 旭川医科大学卒、フェロー1期生)
(平成27年記)

初期研修医のときに初めて看取った患者さまがMRSAの敗血症で亡くなったときに、専門としての感染症科を意識しました。次に感染症科の勉強をしたいと強く思ったきっかけは、予防接種の普及で現在はほとんど見なくなったインフルエンザ桿菌による細菌性髄膜炎にかかった女の子と出会ったことでした。

 

日本では、臨床感染症を勉強し、トレーニングできる病院は多くなく、洛和会音羽病院に来るまでの私がそうであったように、手探りの状態で感染症の治療を行っていることが多いのではないでしょうか? 当院では、各専門科からのコンサルテーションが豊富にあり、中でも、整形外科や心臓血管外科、形成外科の症例が数多くあります。
創傷ケアセンターが併設されていることから、糖尿病や慢性閉塞性動脈硬化症を基礎疾患とした軟部組織感染症や骨髄炎などの症例を多く経験できます。また、少数ながら、HIV感染症、輸入感染症も経験することができます。なお、希望者はトラベルクリニックを担当することも可能であり、輸入ワクチンも含めた予防接種やマラリア予防薬、高山病の予防薬などの処方や旅先での旅行指導などを行っています。

 

当院では、スタッフ、フェローが多く、同年代で切磋琢磨しながら経験を積むことができます。週に1回の抄読会や研修医向けの朝の感染症レクチャーを担当するなどにより、相互に知識を交換しながら研修することができます。
また、学会発表や京都大学感染制御部との合同症例検討会、レジデントのための感染症カンファレンスなどの発表の機会も豊富にあります。特に市中の臨床感染症については、多くの学びがあります。臨床感染症のトレーニングを受けたいという方にぜひお勧めします。

 

感染症診療に携わって

野口 太郎(平成20年 大分医科大学卒、フェロー1期生)
(平成27年記)

フェローシップに参加してから2年がたちました。感染症の指導を受けたことのなかった私にとっては、非常に新鮮で有意義な時間でした。
2年たった現在でも、興味深い症例は数多くあります。まれな症例に限らず、ありふれた症例にも新たな発見があります。また、周囲の指導医、先輩、あるいは研修医との関わりも大変良い刺激になります。
大学病院では、研究に長けた医師が多く、診療に細菌学や検査学、感染制御などの新たな側面を加えてくれます。業務以外の面でも重要な存在です。

このフェローシップでは、2病院の合同カンファレンスが行われ、それぞれの病院の特色を表した症例が提示されます。洛和会音羽病院の総合診療的なアプローチは、大学病院では目にしにくいものであり、憧れをもちつつ、プレゼンテーションを聞いています。それぞれの病院の長所を生かし、短所を補えることがこのフェローシッププログラムの大きな特徴だと思います。多くの人にとって、進路の決定は希望と不安を大いに伴うものであり、簡単なことではないでしょう。その選択肢のなかに京都感染症フェローシップを入れてくださると幸いです。ぜひ一度見学にお越しください。

 

 

前のページに戻る


Copyright(c) RAKUWAKAI HEALTHCARE SYSTEM All Rights Reserved2014