疾患と治療
黄斑円孔
黄斑円孔の症状
網膜はカメラのフィルムに当たる組織です。網膜の中心部に黄斑と呼ばれる視力の鋭敏な場所があります。「黄斑円孔」とはこの黄斑に穴(孔)が開く病気です。穴自体はごく小さなものですが、最も視力が鋭敏な部分にできるため、大きな影響が現れます。初期には物が歪んで見えたり、視力が低下します。完全な穴が形成されてしまうと、視野の中心部に見えないところ(中心暗点)が生じます。
黄斑円孔の検査
眼底検査
黄斑円孔の有無および程度を判定するために行う検査です。
OCT(網膜断層撮影)
黄斑部の網膜を断層撮影することにより、黄斑円孔の大きさ、硝子体との癒着などをミクロン単位で測定できます。
マイクロペリメーター(MP3)
黄斑部の視感度を測定する検査です。黄斑部の視機能を判断するために重要な検査です。
黄斑円孔の治療
硝子体手術
眼球に3カ所の創(灌流用、照明用、カッター用)を作成します。まず硝子体を切除し、次に網膜の最も内側に当たる内境界膜という薄い膜を剥がします。こうすることで術後の再発を減らせます。最後に眼球内部にガスを注入します。
術後、円孔周囲の網膜がガスで抑えつけられることで、円孔が小さくなっていき、数日で完全にふさがります。
ただし、ガスが円孔部分からずれないように、うつ伏せの姿勢を保つ必要があります。これが守られないと、ふさがらない確率が高くなります。ガスが無くなるまで(2~3週間)はできるだけ仰向けにならないようにしてください。硝子体手術の後には白内障が進行しやすくなります。また治療効果を上げるためにも白内障手術を同時に行うことがほとんどです。人工レンズは同時あるいは二期的に挿入します。
手術後の視力
円孔がふさがり、黄斑部の組織が修復されるとともに、ゆっくりと回復していきます。古い円孔や大きい円孔では穴が閉鎖しなかったり、視力が回復しないことがあります。