疾患と治療
網膜静脈閉塞性
網膜静脈閉塞症の症状
網膜はカメラのフィルムに当たる組織です。網膜全体に分布する血管の一つが網膜静脈で、いろいろな原因で網膜静脈が途絶えると、網膜に出血する網膜静脈閉塞症という疾患になります。網膜静脈の根元が閉塞した場合は網膜中心静脈閉塞症となり、網膜全体に出血します。また、静脈の分枝が閉塞すると網膜静脈分枝閉塞症となり、網膜の限局した部位に出血します。症状としては、急激な視力低下や視野障害、ものが歪んで見える(変視症)、飛蚊症などがありますが、何も自覚症状がない場合もあります。
網膜静脈閉塞症の検査
眼底検査
網膜静脈の閉塞の程度、範囲を判定するために必要な検査です。
蛍光眼底造影(Optos California&HRA)
新生血管の有無や網膜の細小血管障害の範囲を判定するために必要な検査です。
OCT(網膜断層撮影)
黄斑部の網膜を断層撮影することにより網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫の程度を判定できます。
網膜静脈閉塞症の治療
網膜光凝固術
レーザーを網膜に照射することにより主に網膜の酸素不足を解消し、新生血管の発生を予防する目的で行います。
硝子体内注射
黄斑浮腫の治療のために、硝子体の中に種々の薬剤を注射します。現在は血管内皮増殖因子を抑制する薬剤を投与することが主流です。この注射は1回で治癒することはまれで、数回にわたって注射をすることが多いです。
硝子体手術
硝子体出血になった場合は、硝子体手術が選択されます。
硝子体手術では、まず硝子体を切除し、同時に硝子体出血を除去します。続いて光凝固・増殖膜除去・止血などを行い、必要に応じて空気やガス・シリコンオイルを眼内に注入して手術を終了します。空気・ガス・シリコンオイルを注入した場合には、術後うつ伏せ姿勢を保つ必要があります。うつ伏せ期間は注入した物質や病状によって異なりますが、ガスのある2~3週間はできるだけ仰向けにならないでください。注入した空気やガスは吸収され眼内液に自然に置き換わっていきます。シリコンオイルは状態が落ち着けば除去します。硝子体切除術の後には白内障が進行しやすくなります。また治療効果を上げるためにも白内障手術を同時に行うことがあります。人工レンズは同時あるいは二期的に挿入します。
手術後の視力
網膜静脈閉塞症症の病状によって異なります。また網膜静脈閉塞症以外に、視力に悪影響のある疾患を併発している場合は良好な術後視力を得られないこともあります。