疾患と治療
網膜剥離
網膜剥離の症状
網膜はカメラのフィルムに当たる組織です。網膜剥離とは、網膜が何らかの原因により眼球壁側から剥がれた(剥離した)状態です。網膜剥離で最も多い原因は網膜に孔(網膜裂孔・網膜円孔)が開くことです。その孔から眼の中にある水(液化硝子体)が網膜の下に入り込むことで網膜剥離が発生します。治療が行われないと失明に至る可能性が高い病気です。
自覚症状としては、視野が欠けてくる、視力低下、飛蚊症などがあります。
裂孔原性網膜剥離の状態
網膜に裂け目ができる | 水が入り込み、網膜が剥がれる |
網膜剥離の検査
眼底検査
網膜剥離の有無および程度を判定するために行う検査です。
広角眼底撮影装置(Optos California)
約200度までの広角の眼底像を撮影できる装置です。
視野検査
見える範囲を調べる検査です。特殊な機械の前に座って、小さな光が見えるか見えないかでボタンを押します。網膜剥離の範囲を判断するために重要な検査です。
網膜剥離の治療
網膜剥離の手術は大きく分けて2つの方法があります。
1.強膜内陥術
眼の外から網膜裂孔に相当する部分に当て物を当てて、さらに孔の周りに熱凝固や冷凍凝固を行って剥離した網膜を剥がれにくくし、必要があれば網膜の下に溜まった水を抜く方法です。必要に応じて、当て物を眼球に一部当てるだけでなく、眼球を輪状に縛ることもあります。剥がれた網膜を眼の中から押さえつけるために、眼内に空気や特殊なガスを注入することがあり、この場合は手術後にうつ伏せなどの体位制限を伴う安静が必要です。
2.硝子体手術
眼の中に細い手術器具を入れ、眼球内から網膜剥離を治療する方法です。この方法では、剥がれた網膜を押さえるために、ほぼ全例で眼の中に空気や特殊なガスあるいはシリコンオイルを入れます。手術後にうつぶせなどの体位制限が必要となります。空気やガスは自然に吸収されます。シリコンオイルは適切な時期に手術で除去します。
硝子体切除術の後には白内障が進行しやすくなります。また治療効果を上げるためにも白内障手術を同時に行うことがあります。人工レンズは同時あるいは二期的に挿入します。