リハビリテーション部
リハビリテーション部の取り組み
円滑な退院支援
退院支援強化スタッフの配置
在宅療養を目標とされている患者さんを支援するため、院内で訪問リハビリスタッフとして活躍してきた職員を「退院支援強化スタッフ」として配置しました。 訓練内容やサービス調整などのアドバイスを行い、患者さんが円滑に退院できるようサポートします。
洛和会音羽病院との連携強化
当院のリハビリスタッフは、急性期病院である洛和会音羽病院の、整形疾患や中枢疾患のカンファレンスにも参加しています。 これにより患者さんが当院で回復期リハビリにスムーズに移行できるよう、連携が強化されています。
スタッフ(2024年7月現在)
- 理学療法士:86人
- 作業療法士:26人
- 言語聴覚士:14人
認定資格
- 認定理学療法士:8人
- 呼吸療法認定士:15人
- 認知症ケア専門士:7人
- がんリハビリテーション研修修了:7人
- LSVT研修修了者:7人
- 介護支援専門員:9人
- 福祉住環境コーディネーター2級:31人
- 医療環境管理士:6人
- 糖尿病療養指導士:1人
理学療法
病気や怪我により、日常生活に支障を来した方々に対して、起き上がり、立ち上がり、歩行などの基本的な動作能力の回復を図るリハビリテーションを行っています。「運動療法」「日常生活活動訓練」などに加え、車いす、杖などの使用に関する助言なども行っています。
装具検討会(ブレイスクリニック)
医師、理学療法士、義肢装具士が立ち会い、各患者さんの治療や生活に必要と思われる下肢装具(短下肢装具・長下肢装具など)の検討を行います。ご本人とご家族に説明後、作製します。
作業療法
身体や高次脳機能などに障がいのある方、またはそれが予測される方に対し、機能回復・維持および開発を促すために、作業活動を用いて治療・指導・援助を行い、日常生活での自立から職場復帰までをサポートして、自分らしく元気に生活が送れるように関わっていきます。
日常生活動作訓練
食事や身だしなみ、トイレ、着替え、入浴などの日常生活動作の獲得を目指します。
毎日の生活に必要な動作が安全に楽に出来るように練習を行います。機能向上はもちろん、動作方法の変更や道具使用・環境の調整なども行い獲得を目指します。
手段的日常生活動作訓練
掃除・洗濯・料理・外出などができることを目指します。
調理訓練や外出訓練を段階的に取り入れ、動作練習を行います。主体的に活動出来る生活方法を考え、動作獲得を目指します。
社会参加の促し
手工芸、カラオケ、旅行でも良し、散歩、テレビ鑑賞、井戸端会議でも良いです。時間を楽しむ事が出来るよう、やってみたいことが出来るように、地域の中での関わりが保てるように支援していきます。
言語聴覚療法
病気や事故などで、「飲めない」「食べられない」といった摂食・嚥下の機能や、円滑なコミュニケーションが損なわれることがあります。言語療法では、評価・訓練・指導・援助を行い自分らしい生活が送れるように支援していきます。
失語症訓練
失語症とは、脳の損傷により「言葉は聞こえるけど理解できない」「話せない」「読めない」「書けない」などことばに関する能力が低下する症状のことです。
当院では、従来の失語症訓練方法のみではなく全体構造法(JIST法)を実施しています。「日常の話しことば」の再獲得に向けて「聞く」・「話す」訓練を行います。話し言葉のリズムやイントネーション面を重視し、身体リズムや周波数調整器を取り入れて訓練を行います。
機能回復の訓練だけではなく、実用的なコミュニケーション手段の検討や訓練、ご家族へのコミュニケーション方法の指導、復学や復職への環境調整などの支援も行っています。
発声・構音訓練
音声障害・構音障害とは、脳卒中や頭部外傷、がんなどにより「声が出なくなった」「かすれる」などの声に関する問題や、唇や舌など、ことばを話す運動器官が動きにくくなる症状のことです。
発声・構音訓練では、動きにくくなった器官の訓練や、五十音表などを使った代替手段の提案・訓練、ご家族へのミュニケーション方法の指導などの支援を行います。
高次脳機能訓練
脳の損傷により集中力が衰えたり(注意障害)、記憶力が悪くなったり(記憶障害)、感情のコントロールが難しくなったりする(社会行動障害)など、様々な症状が生じ社会生活がしづらくなることがあります。
このような高次脳機能障害は外見からわかりにくく、本人も症状を自覚しにくいなど家族や周囲から理解されにくい障害です。
高次脳機能訓練では、評価に基づいて機能回復を図りながら、日常生活での対応の仕方などを本人のみでなくご家族への指導も行い、より円滑な日常生活や復職に向けた支援を行っています。
高次脳機能障害は退院後の長期的な支援が必要になることが多いため、当院では外来リハビリや訪問リハビリと連携し継続したリハビリを提供できる体制を整えています。
また、退院後に復職を目指し職業訓練などさらに専門的なリハビリが必要な方には、地域のリハビリセンターなどと連携して途絶えることなくリハビリが受けられるように支援しています。
摂食・嚥下訓練
摂食・嚥下障害とは脳卒中や頭部外傷、がんなどにより、食べたり飲んだりすることが難しくなる障がいです。
当院では、多職種が関わる嚥下造影検査(VF)の詳細検査を実施し、評価に基づき咀嚼や嚥下(飲み込み)に関わる器官の機能回復や代替手段の獲得を通じて、安全に食べられるような支援を行っています。
がんリハビリテーションの研修を受けた言語聴覚士も在籍しており、舌がんや喉頭がんなどの病気による嚥下障害や緩和ケアなどにも対応できる体制を整えております。
嚥下造影検査(VF)
嚥下造影検査とは、飲み込みの過程や状態を正確に評価するための検査です。うまく飲み込めず誤って気管に入ってしまう「誤嚥」が疑われる方に行い、飲み込み方に問題が無いかどうかを確認します。検査後には医師・言語聴覚士・看護師・栄養士ら多職種でのカンファレンスを実施し、評価結果に基づいて安全に飲み込める食事形態・水分形状の調整、食事の姿勢や摂取方法、摂食・嚥下訓練方法の検討を行います。
LSVT® LOUD&BIG
パーキンソン病患者さんに対するリハビリテーションプログラム「LSVT® LOUD&BIG」
LSVT(Lee Silverman Voice Treatment)とは
アメリカのRamigが考案したパーキンソン病に特化したリハビリテーションプログラムで、言語・動作の大きさに焦点を当てて集中的にリハビリテーションを行います。プログラム内容は標準化された治療法ですが、患者さんの能力、目標およびニーズに合わせて調整し対応します。その結果、コミュニケーション能力の改善、無動・動作緩慢などの運動障害が改善したと報告されています。
LSVT® LOUD&BIGで改善を図る
- LOUD:音声・発話障害に対する治療法(声を大きくする)
- BIG:運動障害に対する治療法(動きを大きくする)
LSVT® LOUD&BIGの実施
LSVT® LOUD&BIGは資格認定された言語療法士・理学療法士・作業療法士が1対1にて担当します。
訓練回数
- 週に連続4日を4週間
- 1回60分の個人セッション
- 毎日の宿題(月に30日)※
※リハビリテーションがない日は1日2回、宿題を実施
※宿題時間は15~20分
リハビリテーションスケジュール
LSVT® LOUD&BIGの効果
LSVT® LOUDの効果
- 治療の前後で比較すると、症例の90%が音声の大きさが改善している
- 症例のおよそ80%が治療後12カ月から24カ月間にわたる治療により改善効果を維持している
- 全ての症例からコミュニケーション能力が改善 したと報告されている
LSVT® BIGの効果
LSVT® BIGの研究では、以下の運動機能試験にて成績が改善されたと報告されています。
- より大きな歩幅でのより速い歩行
- バランスの改善
- 体幹の回旋量増加
- 寝返り動作など日常生活動作の改善
- UPDRS運動系スコアの改善
注意事項
LSVT® LOUD&BIGをお受けいただくためには下記の適応基準があります。
- 当院の外来診察を受けて、医師の判断によりLSVTによる改善が見込めること
- 症状が安定していること(服薬コントロールされていること)
- リハビリテーションプログラムや自主トレーニングが意欲的に行えること
- 声掛けのもと、動作の大きさに変化が生じること
- 短期集中リハビリテーションプログラムにより改善が見込めること
- 週に連続4日を4週間の治療を継続して行えること
詳しくは、一度お問い合わせください。
洛和会音羽リハビリテーション病院 地域連携課
TEL:075(581)6868(直通)
IVES
電気刺激療法(IVES)
脳卒中による片麻痺患者さんの運動麻痺や、筋力低下により動かしにくくなった手や足の運動に対して、患者さんの随意運動を電気刺激にて介助してくれるIVESを用いてリハビリテーションを行っています。
IVESとは
脳からの運動指令によって生じる筋肉の活動を電気刺激として読み取り、弱まった運動指令を補うように、麻痺や筋力低下のある箇所に電気刺激を与え、患者さんの随意運動を電気の力で介助する治療法です。