心筋梗塞
心筋梗塞の基礎知識
心筋梗塞について
冠動脈で動脈硬化が進行し、血管の内腔が狭くなるのが「狭心症」、完全に詰まるのが「心筋梗塞」、冠動脈硬化部位に血栓ができ、詰まりかかっているのが「不安定狭心症」です。
心筋梗塞となり血管が詰まってしまうと心臓の筋肉に栄養が行きわたらなくなり、心臓の筋肉が死んでいきます。死んだ筋肉は元には戻らず、致死的な不整脈や心不全などの合併症を引き起こします。病院に到着する前に14%くらいの方がなくなるという統計もあり、非常に致死率の高い怖い病気です。
心筋梗塞の症状
締め付けられるような胸の痛み、冷や汗、倦怠感などの症状で発症することが多いですが、症状に個人差があり、症状の強さと重症度は一致しないことがあります。心臓専門医は症状を聞けば90%以上の確率で診断可能です。
心筋梗塞の予防
まずは普段から生活習慣を改善し、動脈硬化が進むのを予防することが大切です。そのほかにも、次のような予防策があります。
- 塩分を控えるなどして血圧をコントロールする
- 起床後、すぐに激しい運動をしない
- 寒い冬場の夜間にトイレヘ行くときなどは、暖房を入れたり、暖かい服装で行くなどの工夫をする
- 暑い夏場は、気づかないうちに体内の水分が汗として蒸発して脱水状態となり、血液がドロドロの状態になるため、十分な水分補給を行う
病院を受診するタイミングについて
心筋梗塞を発症すると、心臓の筋肉が経時的に壊れていきます。死んでしまった心臓の筋肉は元に戻らないため、できるだけ早期の血流の回復が重要となります。心臓の筋肉が死んでしまうことで心臓のポンプ機能が低下するため程度の差はあるものの多くの場合心不全を合併します。心不全以外には一定の確率で致死的不整脈や、心筋破裂や急性の弁膜症などの外科的な治療を要する合併症をきたす可能性があり、また心筋梗塞では亡くなられる方の半数以上が、発症から1時間以内に集中しています。そのため病院に到着する前に亡くなる場合が多いのです。締め付けられるような胸の痛みを感じたり、冷や汗が出るようなことがあれば、我慢せず、すぐに受診することが大切です。
心筋梗塞になったら ~実際の診療の流れ~
24時間365日、救急の受け入れおよび心臓カテーテル検査・治療が可能です。
症状から心筋梗塞が疑われた際は、救急室で心電図、心エコー、血液検査などを行います。確定診断、治療にはカテーテル検査・治療が必要となります。カテーテル検査とは1.7mm程度の細い管(カテーテル)を血管内に通して心臓の血管の性状を見る検査です。血管が細くなり、血流の悪いところがあれば、風船で広げたり、下図のようにステントと言われる金属製の筒を置いて血管を補強する治療を行います。ステントも改良され現在は第3世代の薬剤溶出ステントが使用可能で良好な成績をあげています。
治療後は突然の不整脈や血圧の変動などにすぐに対応できるよう集中治療室にて治療を行います。その後は心臓の回復の状態に合わせて心臓リハビリテーションを行います。心臓の状態をモニターしながら心臓への負荷を安全に増やしていくことが目的です。急性心筋梗塞で入院された患者さんの当院での平均入院日数は約2週間と短くなっています。