間質性膀胱(ぼうこう)炎とは?
頑固な頻尿でお困りの方へ朗報!
頑固な頻尿でお困りの方、膀胱(ぼうこう)炎にかかっているが、なかなか良くならない方、もしかしたら間質性膀胱炎かもしれません。
当院では、間質性膀胱炎に対する診断から手術まで行うことができますので、一度ご相談ください。
間質性膀胱炎とは
頑固な頻尿や、トイレに行ってもすぐに行きたくなる、尿を我慢すると下腹部が痛いなどの症状を来す慢性的な膀胱炎で、特に女性に多い病気です。
細菌感染で起こる急性膀胱炎や尿意切迫感を来す過活動膀胱と症状がよく似ていますが、全く別の病気です。
間質性膀胱炎は、細菌感染で起こる急性膀胱炎とは異なり、多くの場合、尿には異常がありません。医療機関を受診すると、症状から急性膀胱炎と診断され、抗生剤を処方されることが少なくありません。それで一時的に症状が治まっても、間質性膀胱炎の場合は、しばらくするとまた同様の症状が起こります。尿に異常がないにも関わらず症状が治らないため、精神的なものが原因であると誤解されることもあります。
頻尿が顕著な場合は、過活動膀胱と診断され、治療薬である抗コリン剤が処方されることがありますが、多くの場合、あまり治療効果がありません。治療効果が無い場合は、間質性膀胱炎が疑われます。
間質性膀胱炎の症状
典型的な症状としては、尿がたまると膀胱に痛みを感じます。痛みを感じる前に早めにトイレに行っている方も多く、1日に20~30回もトイレに行く方も珍しくありません。
次のような方は、間質性膀胱炎かもしれません。
- 薬を飲んでも頻尿が治らない
- 膀胱炎が治りにくい
- 膀胱炎のような症状だが、病院へ行っても尿に異常がないと言われた
- 尿がたまると下腹部が痛い
- 性交時にも痛みがある
- 排尿してもすぐまたトイレに行きたくなる
- いつもトイレのことが気になる
- 排尿時や排尿後に下腹部や尿の出口付近が痛い
- 夜に何回もトイレに起きる
間質性膀胱炎の原因
膀胱粘膜表面を保護するバリアーの部分が何らかの原因で害されて起こります。尿の成分が膀胱粘膜に染みこむため、少し尿がたまっただけでトイレに行きたくなったり、膀胱の不快感や痛みが起こります。
間質性膀胱炎の診断
はじめに、症状と経過を十分お聞きして、間質性膀胱炎を疑います。
ほかの疾患の可能性を除外するため、問診票に記入いただき、尿の検査のほか、排尿の量や勢い、残尿量などを調べます。必要に応じて超音波検査や血液検査も行いますが、いずれもほかの疾患でないことを確認するためです。
診断には、膀胱鏡(内視鏡)の検査が重要です。当院では、粘膜表層の毛細血管などを強調表示する機能があり、微細な異常を発見することができる、狭帯域光観察(NBI=Narrow Band Imaging)システムを使用しています。
間質性膀胱炎の方は、検査の痛みを通常以上に感じることが多く、外来で検査することが難しい場合は、入院のうえ、麻酔をかけて、治療を兼ねた膀胱水圧拡張術を受けることをお勧めしています。
膀胱水圧拡張術で膀胱粘膜から、さみだれ状の出血を確認できれば、間質性膀胱炎と診断されます。
間質性膀胱炎の治療
膀胱水圧拡張術
膀胱水圧拡張術は、間質性膀胱炎の診断の確定と治療が同時にできる方法です。ただし、膀胱水圧拡張術の治療効果は数カ月しかありませんので、間質性膀胱炎の診断が確定したら食事面を含めた日常生活の注意をすることが重要になってきます。
膀胱水圧拡張術は、厚生労働省による認可を受けた病院しか実施することができません。京都市内では、当院のほかに5病院が認可を受けています。(2014年1月現在)
ハンナ型間質性膀胱炎手術
膀胱内に潰瘍がある重症の方は、潰瘍をレーザーや電気メスで焼くと、疼痛が劇的に改善します。
薬物療法
薬物による治療では、間質性膀胱炎の治療用として保険が適応されているものがないため、使用できる薬は、有効性が報告されている、アイピーディ(抗アレルギー剤)、トリプタノール(抗うつ薬)などに限られます。
生活上の注意を守りながら薬物による治療を行うことで、通常の生活に支障が無い程度に回復することもあります。
日常生活上の注意
生活上の注意としては、以下の3点が重要です。
- 水分を十分取って尿を薄める。
- こしょう・唐辛子・わさびなどの刺激性の食品を控える。
- 可能なら膀胱に尿をためる練習をする。(膀胱訓練)
治療実績
2023年度 間質性膀胱炎で入院した患者は61人。手術療法は上記合わせて56件でした。