肺塞栓予防
正常な状態では、血管内の血液は固まりませんが、次のような場合に血液が固まってしまうことがあります。
- 血液の凝固能力が異常に促進している
- 血管の内皮が傷ついている
- 血液の流れが停滞している
深部静脈血栓症とは、筋肉の中を走っている深部静脈の中の血液が固まってしまう病気です。通常は、夜間に寝ている場合でも、無意識のうちに寝返りなどで動いているために、血液が滞留することはありません。しかし、静脈瘤があったり、手術などで身動きが取れないときなどでは、血液の流れが滞り、血栓が生じることがあります。そこでできた血栓が移動すると、肺の動脈を塞いでしまい(肺塞栓)、呼吸困難や胸痛などを生じ、最悪の場合、命を落とすことさえあります。ロングフライト血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)も深部静脈血栓症が原因です。
深部静脈血栓症とわかれば、肺塞栓が起こらないように血栓溶解剤の投与や下大静脈フィルター(カテーテルを用いて下大静脈に留置する血栓補足用の金属)の挿入を行います。下大静脈フィルターは、大腿静脈(足の付け根の静脈)、または頸静脈(首の静脈)から局所麻酔下で挿入され、30分程度で手技は終了します。挿入したフィルターは回収することもありますが、多くは留置したままとなります。