京都下肢創傷センター
京都下肢創傷センター 部長
松原 邦彦
糖尿病や動脈硬化症などが原因で、足の血の流れが悪くなり、徐々に足が腐っていってしまう壊疽(えそ)の患者さんが増えています。これに立ち向かうため、多くの専門家が協力し、当院の総力を結集できるシステムとして、当センターが設立されました。
完全予約・紹介制の外来ですので、何カ月も治らない傷をかかえて悩んでおられる方は、かかりつけ医を通じてご相談ください。じっくりと患者さんに向き合い、良質の医療が提供できるように努めます。
診療内容
当センターは、壊疽(えそ)、下腿潰瘍(かたいかいよう)の集学的治療を行う専門外来です。糖尿病性壊疽、閉塞性動脈硬化症(ASO)、静脈性潰瘍が主な診療領域となります。そのほか、さまざまな慢性創傷の診断にも力を入れています。
医療の進歩、高度化に伴い、専門分野は細分化されてきました。自らの専門分野に注力しながら他分野と連携するためには、大きな労力が必要です。特に慢性足潰瘍では、創傷治療、血行再建、リハビリテーション、装具など、分野の異なる専門家の連携が必要であり、これを円滑に行うためのコーディネーターというのが、院内での位置付けです。
重症下肢虚血に対するチーム医療
重症下肢虚血とは
・足の血流(血のめぐり)が悪いため、足の傷が治らない状態を重症下肢虚血といいます。糖尿病・腎臓病などを患っている方に多く、重症・難治性であることが多いのが特徴です。
こんな方はご相談ください
・高齢者
・糖尿病や腎臓病を有している方
・脳卒中や狭心症、心筋梗塞を起こしたことがある方
で足の傷がなかなか治らない、痛みがある方
※傷はないが、足の痛みや冷たさなどで血流が心配な方は、洛和会音羽病院 心臓内科を受診していただければ診察と簡便な検査で血流を評価します
各分野のスペシャリストと共にカンファレンス(会議)や回診を行い、個々の患者さんに応じた治療方針を協議しています。
傷や血管の状態だけでなく、年齢や生活状況および他の病気の状況などを考慮して、最適の方針を模索するように心掛けています。
足の指の壊死(えし)からばい菌感染を来した患者さんに対するチーム治療
心臓内科医師によるカテーテル治療の後、そのまま形成外科医師が壊死した足の指の切断手術を行います。さらに、切断した組織は感染症科医師が細菌検査を行い、適切な抗生物質治療を選択します。
重症下肢虚血治療は「カテーテルだけ」「手術だけ」「お薬だけ」では成立しないので、当院ではチーム一丸の治療で救肢(足を救う)・救命(命を救う)を目指しています。
関連情報
- らくわ健康教室「歩行を守る、命を守る ~創傷ケアという取り組みについて~」(2017.6.20)
- 第193回らくわ健康教室「糖尿病性壊疽で足を失う人が増えています」(2014.5.20)
- 第119回らくわ健康教室「糖尿病による足切断を防ぐために」(2012.10.12)
- 第87回らくわ健康教室【腎臓病特集】「あなたの足が危ない ~腎不全と壊疽(えそ)の危険な関係~ 」(2012.2.24)
- 第15回らくわ健康教室「本当は怖い足の傷 ~壊疽(えそ)のおはなし~」(2010.7.12)